宮澤敏文

かぶの根

昨秋、かぶの種を植えた。かぶの種は小さく、私のごつい手では、一つの植え床に数粒一緒に入ってしまった。持ち前のいい加減さで構わず見守っていると、丸く空いたマルチの10cmの植え床から4から5個の株が仲良く顔を出している。まるで兄弟のようである。

早朝散歩、畑を回り5個ほど氷ついたかぶを収穫して、みそ汁の中に入れていただく何とも甘く、香りを楽しみながらうれしい一日のスタートがきれた。

昔話に「大きなかぶをみんなで引っこ抜く」話があるが、かぶの根がどうなっているのかあまり知られていない。

食する丸く太ったかぶからは想像もつかないほど、かぶの根は細く弱弱しい。

正月以来、松本や安曇野地域のモノづくり企業に伺うと、思いのほか景気が悪く、ある企業では泣く泣く雇用調整もすると聞かされた。

灯油ガソリン、食糧費など物価は確実に上がっているが家庭の収入はむしろダウンしている。

株取引をしている人は利益を上げていると聞くが、ふっと「かぶの根」のことを思う。

     「細き根の おかげ様で かぶ愛でる」星辰

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