宮澤敏文

つばめ

春の使者として南の国からやって来るつばめは昔から益鳥として日本人に愛されてきた。水田の上を自由に切れよく飛び廻るすがたは、春の農作業に汗する人たちに元気を与えてくれた。

つばめが民家の軒先に巣を作り、子育てに精を出すことを日本人は温かく見守ってきた。

わたしの家にも毎年決まったようにいくつもの巣がつくられる、周囲の状況に気を配りながら、何度も何度もえさをくわえて巣を行き来するつばめの親を心地よく、暖かくみつめたものである。

昨日運転していると前方に一羽のつばめが道路上に降り立ってじっとしているのを発見した。徐行してみるとつばめが、車に轢かれたのだろうか数日経って乾いたつばめと思われる存在をじっと見つめ、何度も通行する車に邪魔されながらもそばに降り立ちたたずんでいた。

車に轢かれたのは、きっと南の国からともにやってきて子育てを一緒にしているつれあいであろう。

こんな小さなつばめが、不幸にもなくなった自分の大切なパートナーの死を悲しみそばから離れようとしない。熱いものをこみ上げて来た。

同じ日、若者でにぎわう秋葉原で7人の尊い命が一人に暴挙で奪われた。生まれてきた命には定めがあるとは思わないが、もしそのような法があるとしたら、あの7名の方々の人生は何であったのだろうか。

親が子を監禁したり、いじめたり、子供が親を殺すそんなニュースが毎日のようにマスコミに報道される。つらい社会になってしまっている気がする。

「 子育ての つばめ夫婦に 教えられ」 星辰

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