末子相続
日本の国技である大相撲で、外国の力士ががんばっている。
生活風習の異なる日本の相撲界に若くして入門し、厳しい稽古や上下関係を乗り越えて、立派な力士となることは並大抵ではなかったはずだ。日本人力士と同様、応援したいものであるが、その中でひときわモンゴル力士の多いのは同じモンゴリアンとしてうなずけるところである。 大草原の羊飼いを中心とする遊牧民族の結束は固い。
古く元の時代には世界最大の王国を築き上げたが、その元を学ぶ中で「末子相続」という慣わしを学んだ。一箇所に定住することがなく、限りある草原を奪い合い、生き残るために敵対する部族との争いや部族が長く続くために権力の分散からか、末子相続方式がとったと聞いた。親が元気なとき、先に生まれ成長したものがあらゆる立場で、幼き弟を支え、導き、一つの和を維持し続けることが何より大切であったからだろう。
長野県にも末子相続の慣習がある地域がある。諏訪地域である。田んぼが少なく、貧しかったこの地域は、長男、次男はまず外へ働きに出て、家計を支え、また外からいろいろな情報をもたらしたのである。そんな風土の中から新しいものにいち早く取り組む気風が培養されたのであろう。精密機械、寒天や新野菜のセロリなどのさきがけはこの諏訪地域であった。
先日発表されたの日本の出生率は残念なことに1.39である。60%を超える家庭は一人っ子という計算になる。兄妹がいないということはさびしいものであろうが、兄弟のいない生活では、人として身につけなければならない「程々の精神」や「兄弟のために自分が犠牲になっても助け合う心」などは経験できないであろうと思う。
私は4人兄妹弟で育った。よくけんかもし、助け合いもし、今を生きている。末っ子も40歳をとうに越えたが、互いに白いものが目立つようになった今も、余り顔を見せないのに何かあると必ず心の中に住んでいる。不思議なものであるしうれしいものである。その上 けんかばかりしていたのに、妹の弟も不思議と兄や姉の影響を受け、同じように成長しているように思えて仕方がない。
少子化時代の一人っ子が成長し、この社会の中心になったときは、どんな社会風潮になっているのだろうか。やはり兄弟仲よくの儒教の教えで育ったものとは、異なる文化風習が主流となっているのだろうが、4人の子供たちに子供は大勢持ったほうがいいと話している。
「けんかした 妹弟の涙に 育てられ」 星辰
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