宮澤敏文

桜島の噴煙のかなたに

 薩摩空港を飛び立つと、桜島の大地から沸きあがる噴煙を回り込むように小型ジェット機は重そうにエンジン音を響かせながら、屋久島へ向かう。  薩摩湾から池田湖と自然と人の営みの境を見つめている。サツマイモ畑の緑ががいっぱいだ…

笑顔がみたくて

年を重ねてはじめてわかる自分の体力が日々失われていく不安。若いときは、自分の意思と行動がなにごとも一緒であったが、60歳に近ずくにつれ、脳と身体の間の連携がうまくいかないことによく遭遇する。生まれて初めてケアすることと鍛…

毘沙門天の法要

過去に無い参拝者でにぎわう長野市の善光寺本堂の東地区にもうひとつの御開帳として横たわる仏さまが祭られ、七年に一度同じく回向柱を立てて祭られ、参拝者でにぎわっている。毘沙門天仏である。福を呼び人々を守られる仏様として平素合…

三畳一間の青春

 「狭い部屋だなあ」十数年前に亡くなった祖母が、最後の遠出で、上京し私の下宿に入るなり茶目っ気たっぷりの笑顔で私を見つめた。大学2年の次男が、笹塚の近くの中野に下宿を移したとの連絡を受けて、わたしのあのころを思い出し、静…