宮澤敏文

親子の笑顔

 羊の腸に、小さな手で一生懸命こねた豚ミンチが、つまっていくと見る見るうちにウインナーソーセージが形になり、周りで見ていた親や子供たちから驚きの声が上がる。

 「私たちが生きていくことの基本は食べることです。食べるということは、植物や動物の生命をいただいて生かしてもらっているのです。『いただきます』の言葉にはありがとうございます。という感謝の心が入っています。料理を作ってくださった家の方に感謝する気持ちをあわせて、大きな声で『いただかせていただきます(いただきます)、ごちそうさまでした』といいましょう」と講師の言葉が響く。

 春が遅く、稲が十分に育ちにくい雪国小谷村、お百姓さんは苦労をして、山の奥から水路を創り、水を引き、田を作り、寒い地域でも収穫できる品種を導入し、米をつくり続けてきた。そんな古人の苦労に思いを馳せながら塩むすびをみんなで作った。

 命の素の一つである塩が取れない山国信濃の民が、ぼっかや牛の背で塩を運び、海から供給した塩の道の塩の大切さを理解してほしいと欲張りな企画いっぱいに、将来の小谷村を背負う「キラ星小谷」の活力溢れる皆さんが中心になり、「夏休み親と子でわいわいがやがやおにぎりとウインナーづくりの会」が、長野県の北西の県境の小谷村で開催された。

 このような地域の中から、湧湧滾々と生まれる事業こそ尊いと、第一回の長野県食育フェスティバル事前事業食育実践セミナーとして長野県食育推進会議も持ちまわり役員会で承認、バックアップさせていただいた。

 小谷村は、自然が厳しい地域だけに、食を大切にされ、多くの工夫に満ちた伝統料理が受け継がれている。いつまでもいい食文化が受け継がれてほしいと願ってきたが、一生懸命子供たちと手際よく、汗を流す若いお母さんの真剣な笑顔のなかに、小谷村の将来は大丈夫だとうれしくなった。

 平成21年で過疎債がなくなり、人口4000名を割った過疎の村が自立していくことは至難の業である現在、小谷村のこんな絆がいつまでも続くように祈りながら、改めて、企画準備されたキラ星小谷の相沢さん、両郷津さん、今井さん、猪又さん、北村さん、藤原さん、松沢さんを始めそれぞれの方に感謝したい。

     「親と子の 笑顔と汗に ひまわり揺れる」 星辰

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