宮澤敏文

妹の定年

久しぶりに、2歳離れた妹から手紙が届いた。工学部を卒業して日本IBM社に入社し、当時では、あまり例を見ない女性が専門分野で働きながらながら、二人の子供を育てた。

いろいろな困難があったと聞いたが、兄としては、同社の中央研究所に勤め、彼女を温かく見守ってくれた義弟のふところに感謝する。

自律した精神を持った女性が子育てをしながら、責任ある立場で勤め上げるということは大変なことである。

まだ若いとき、一度だけ、仕事で上京の際に、彼女の家に伺ったが、まさに戦場だった。ぎりぎりでスケジュールをこなす彼女がかわいそうになり、その後一度も妹夫婦の家にはいっていない。

昨年彼女夫婦はそろって定年になった。

妹は関連の会社で150名のマネージメントを選択し、東大の大学院まで出ている義弟は物理を学ぶために大学へ通うという。

それはそれとして、今まで時間的には、行き違いが多かった二人だけに、また自分のもつ可能性に生きてきた二人だけに、今後の時間の使い方には「二人の創造と心地よい重なり」を基調に据えてほしいと勝手に願っているが。

定年とその後の生き様、人さまざまである。

    「ひたすらに 重ねる思い 支えあり」    星辰

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