宮澤敏文

おひさま

この四月から、信州安曇野を舞台とした朝の連続テレビドラマ「おひさま」が始まった。 主人公井上さんが演じる「太陽の子」陽子さんの明るさがさわやかである。 身体の弱い母が元気になれと父が空気がきれいで水がおいしい信州安曇野に…

おじいちゃんの背中

「おじいちゃんが好きだったんだろうなあ」小学校5年生の松川村の森君が「ぼくはおじいちゃんが守ってきたりんご畑を守ってりんごを作るんだ」 赤いほっぺにしっかりした声で、「家族総出のりんごの収穫、作業が終わった後のみんなの笑…

長崎の風

海を見下ろす高台の猫の額ほどの傾斜地に、家がぎっしり建てられ、「誰もが笑顔で暮らせる国」を創るために熱く燃え、中には志半ばでイサキよく散った先達たちが静かに眠っている。 日本一の島々を抱え、人が住まなくなった島々の元気づ…

画家山下大五郎と卵焼き

 かなかなが命いっぱいに鳴く信州安曇野池田北アルプス展望美術館で、7月24日から山下大五郎生誕100年没後20年の記念展示会が開催されている。 お年を重ねられてからしかお会いしていない山下先生の若き日のお姿に、うれしい戸…

里山の跡取り

地域の保健婦さんとして軽自動車を運転し、雪の日も雨の日も狭い山道を駆けづり廻った奥さんがうれしそうに、一枚の大きな表彰状を開かれた。 旭日単光章。がんと戦ってこの春旅立たれたご主人の名前が書かれていた。 北安曇郡池田町広…

桜島の噴煙のかなたに

 薩摩空港を飛び立つと、桜島の大地から沸きあがる噴煙を回り込むように小型ジェット機は重そうにエンジン音を響かせながら、屋久島へ向かう。  薩摩湾から池田湖と自然と人の営みの境を見つめている。サツマイモ畑の緑ががいっぱいだ…

笑顔がみたくて

年を重ねてはじめてわかる自分の体力が日々失われていく不安。若いときは、自分の意思と行動がなにごとも一緒であったが、60歳に近ずくにつれ、脳と身体の間の連携がうまくいかないことによく遭遇する。生まれて初めてケアすることと鍛…

毘沙門天の法要

過去に無い参拝者でにぎわう長野市の善光寺本堂の東地区にもうひとつの御開帳として横たわる仏さまが祭られ、七年に一度同じく回向柱を立てて祭られ、参拝者でにぎわっている。毘沙門天仏である。福を呼び人々を守られる仏様として平素合…

三畳一間の青春

 「狭い部屋だなあ」十数年前に亡くなった祖母が、最後の遠出で、上京し私の下宿に入るなり茶目っ気たっぷりの笑顔で私を見つめた。大学2年の次男が、笹塚の近くの中野に下宿を移したとの連絡を受けて、わたしのあのころを思い出し、静…

夕張の真実

2007年の暮れだったろうか。箱物優先の放漫経営で、行政破綻した例として、著名なニュースキャスターが、夕張市の市立病院をはじめ雪の中で、閑古鳥が鳴く観光施設を行政の失敗例として全国に報道した。「現場に真実あり」と常に調査…