宮澤敏文

二重の虹

 田んぼの収穫がひと区切りすると、男たちはきのこ狩に、子供や女性は里山に栗拾いに出かけるのがふるさとでは慣わしになっていた。男たちは、それぞれが子にすら教えないきのこの「しろ」があり、雨の日などは先を争って奥山に入り、び…

きな粉おにぎりの心

 あぜ道にススキが揺れ、黄金色を迎えた長野県県境の村小谷栂池高原で、第一回の長野県食育フェスティバルが、9月23.24日両日心温かく、笑顔が溢れ、祈りのある珍しいほどに、さわやかな交流の場となった。  今年7月国の食育基…

健全な間

 木製ガードレールを担当していた県職員が昨年11月自らの生命を絶たれた。37歳の将来ある親思いで何事にも責任持って対応する素敵な青年であった。  彼の昨年4月からの出勤簿をみると毎日のように午前2時ごろまで残業し、田中知…

志を果たしていつの日にか

 「志を果たしていつの日にか帰らんで始まる唱歌ふるさとの3番を口にするたび熱いものがこみ上げてくる。今日までがんばってこれたのは、このふるさとがあったからです」今年80歳になられ、いまも現役で凛とした北条さんは静かに語ら…