2004年 長野県議会県民クラブ代表質問
2004年 3月 3日
宮澤敏文


田中
改革の検証

1.      国との関係

2.      市町村との関係

3.      県職員との関係

4.      経済政策・財政改革プログラムの見直しについて

5.      許認可について

6.      対話のルールについて

トップリーダーの責任

1.危機意識を高めるべきだ

2.隗より始めよ

わかりやすい県政

1.コモンズとは

2.地域の言葉で語れ

田中改革の手法

1.外部の学識者による手法は

条例について

1.知事の権限の強化は

2.教育問題

    総合交通政策

    医療関連

    福祉関連

    景気・雇用問題

    農業問題

    観光問題

林業問題

地震問題

環境問題

SO問題

田中県政を総括する

県民グラブを代表し、2004年度の当初予算案を初めとする議案に対しての総括質問を行います。

田中知事が提唱した「ダム脱宣言」後の、新しい治水利水が、どうあるべきかを論じ合う長野県治水利水ダム等検討委員会が設置されました。

その最初の会議の席上、わたしは、わが国全体の治水利水政策の決定プロセスの根幹を、論じ合う このような検討会議は、予算を管理する国のレベルで行われる会議ならば大いに意味があり、出された結論の実効性は、上がるわけであるが、現在の予算システムは、あくまでも公共事業の基準は国にあり、市町村・県レベルで出された結論が、国の方向と異なるときは、河川管理の最終決定権を持つ国との間で、基本姿勢の違いから、ことが進まず結局、安全対策の執行が遅れ、住民が迷惑する。

その上、対策費用の県単独分が増え、県財政を大きく、圧迫することとなる旨の発言を申し上げたことを思い出します。

地方と国の対決、「古きと新しき」の対立。マスコミ関係者は、長野県に注目し、知事の周りを取り囲みました。

220万県民益のために」といううたい文句は、多くの支持を得、過去の全否定と 目の前の

事例を、追い続ける批判する田中手法に対し、もう一方の代表制である議会が、定例県議会のたびに、対話の重要性を掲げ、田中さんが目指す改革の向こうにある5年後、10年後の長野県の姿を、明確にして県民に示し、改革に着手すべきではないか、と幾度となく申し上げてきましたが、それには耳を貸すことなく、田中理念を押し通すための、検討会議が、次々と設置され、自らの意にならないものは、結論や成果を先送りにしたままであります。

田中さんの判断は、絶対で常に正しい。県民は、田中さんの言うことに従えば良い、従わない者は排除する。批判するものは敵である。こんな行政が長く行われているとしたら、人は自立する精神を失い、組織には活力がなくなってしまいます。それよりも民主主義の原点が、脅かされる大変な問題です。

また、自らの価値観だけで決定する220万県民益であるとしたら、この長野県はどうなってしまうのだろうか。大きな疑問と危機感さえ覚えます。

また田中さんは、「上から与えられた行政でなく、住民から湧き上がる行政」の実現を常に語られます。この場合の住民とは、地域の川ざらいから、地域の道路やごみ収集場の清掃に至るまで、地域にすんで、住むものの義務を果たす人を言っていると思いますが、

4 年がたった田中県政は、「上からの押さえつけ」になっていないだろうか。「トップリーダーは、県民に説明責任を果たし、県民とともに歩いているだろうか」「住民からわきあがる声を、しっかり聞く体制」にあるだろうか。また歴史によく登場する民衆から生まれたリーダーが、犯しがちな民衆からの代表という巧みな表現や人気取りの政策に、惑わされて経済が停滞し、貧困が増加し、県民の生活レベルや社会秩序が、後退した過去のあやまちを繰り返してはいないだろうか。

田中県政4年という節目に立ち、220万県民が今、立ち止まってしっかり、田中県政を見つめなおすときだと思います。この観点に立ち、以下の質問に入ってまいります。

まず田中改革の検証であります。

田中改革は、国のシステムのあり方に疑問を、投げることからスタートしています。

私たち長野県民220万人が暮らす日本は、国・県・市町村という行政システムの中で生きています。ひとつの事業たとえば教育関係にしましても、国と県と市町村で事業費を分担し、地域要望を実現するシステムをとっています。

そして、各行政の最大の使命を考えますに、国民や民間企業から納入いただいた税金を、いかに効率的に、国民生活の安全に安心。そして政策的には、何より家族が暮らす生活の糧を創る雇用が確保され、失業のなく、健康で、住民が生き生きしている。そんな社会を作るために使うことにあると考えます。

この使命を実現のため、与えられた行政システムの中で県・市町村は、予算を作成していきます。

他の県や本県の従来の予算作成プロセスは、――まず来年度の予算要望を6 月末までに出先の10広域の県出先機関で、市町村からの要望を始め、地域の願いを元に、調査まとめられた要望を、県庁の担当部局で内容を精査し、国との協議に入るわけです。――12月末までに一様の目鼻をつけ、その後細部の予算づくりにはいっていきます。

今議会に提案された平成16年度予算の編成過程を検証しますに、県職員が地域の願いを歩いて提案したものでない、机上で発想した信州モデルといわれる事例が、予算化されていたり、担当部局でじっくり詰め、提案した3]3の産業創出やはつらつ産業育成予算約8億円が2億4,000万円に、知事査定で削られたり、緊縮財政のなかで、明日の長野県をどう作ろうとしているのか、理解しがたい内容となっているだけでなく、中には、いまだ黒沢川のダムに変わる治水対策が決定されないで、議論のさなかで、黒沢川の下流である万水川の堤防が、引き堤になるのか、かさ上げになるのか、決定しないのにこの時期、自転車道を通すという、ちぐはぐなものであります。

 田中改革で市町村との連携をかく長野県の場合、市町村では 県に任せておいても心配で、さりとて、地域要望をなんとしても実現したいと、市町村長や議会の代表が、国へ要望にお伺いしますと、国のほうから、国は住民の要望を理解しますが、長野県は、知事のご意見が、県民要望と違うケースが多いので、大変でしょうが、県とよく打ち合わせをして、長野県からあげてください。と逆に励まされるそうであります。帰ってきて県の出先や、担当部局に伺うと、県職員からは、働きかけになるので来てもらわないほうが良い、私たちが動いて、国と目鼻をつけても、その後、知事査定等で知事から、NOといわれるから何一つ行動できない。とあやふやにされ、県の行政が機能していない実態に不満がたまっている。県議会で何とかしてほしい、という要望をいただく昨今であります。

いったい長野県はどうなってしまったのか。県下各地の多くの市町村長が、知事と並ぶもうひとつの代表である県議会議員に対する意見であります。長野県の最大シンクタンクと信ずる県職員に目を向けますと、何やっても決定権が自分たちになく、すべて田中さんの意思で、決定する体制が構築されており、ひたすら知事からの指示待ちで、貴重な時間が無駄に費やされていく、少しでもいいことをと考え、自主的に取り組もうとすると、周りからおかしな目で見られ、知事のところへ影口のメールが届けられる。県職員の行動は、萎縮し、はつらつしさが消えてしまっている。

知事が、県職員に求めた新たな提案の一覧を拝見しても、その提案内容は、自分たちの汗の範囲から抜けでれず、ビックビジネスを巻きこんだスケールの大きな明日の長野県活性化の提案は、トンとお目にかかれないのが現状であります。

どこの組織にも言えることですが、組織というものは、自分が絶対と考えるトップの場合、それを超える人材や提案は葬られるのが常でありますが、この長野県の歴史に残る変化のとき、ダイナミックな感覚を吸い上げる体制であってほしいと願うところです。

現在、国では、今の日本は46都道府県で、長野県は入っていませんよと冗談を言われる始末であります。この事実を真剣に見つめ、知事に確認いたします。

Q. 1. 田中改革のなかで、いったい現行の国と県との行政システムをどう意識しているのか。国と袂を分かち、県単独で県政運営をやろうとしているように、見えてしかたがないが。

Q. 2. 県と市町村はいかなる事業を実行する上でも、パートナーシップが、規定されています。同格である市町村の希望や要望を、勝手に県知事という立場で、制限することは許されないことであります。今後、国との調整や地域づくりの方向で、住民要望と接している市町村との連携をどう図っていくのか。

また市町村が、望む事業を、どのように責任もって対応していくのか。

Q 治水利水対策についてですが

全国が注目し、田中さんを世に知らしめたダムに変わる治水案にしても、私が担当しました砥川の治水利水を、検討した部会の例を引かせていただくなら、現在の国が定めた基本高水などの方式では、ダム以外に治水策はなく、代替案は、危険度を下げ、カバー率を低く設定し、河川改修などの対策を講ずるしかないと平成12年11月〜13年3月までのわずか5か月の、ダムに賛成・反対のそれぞれの委員が参加された検討会議で結果が出ているのです。

しかし、カバー率を下げ、治水安全度を下げての案は、正当な理由がないと国は認めない、無理のかかる代案を国に持ち込むと、はじから問題が指摘され、頭を抱えてしまっている。技術者でもある専属の職員は、大前提を変えなければ、代案は探せないと気づいているのに、田中さんが、頑として受け付けず、現実の仕組みをこわす、長野県モデルにこだわるため、幹部職員はないもいえず、現実との狭間で、毎日ストレスがたまるばかりでいる。

またドックイヤーといわれる時代、田中改革として、スピーデーな県民を顧客として、対応する県でありたいと力強く言い切った田中さん県政になり、県民等しくスピーデーになるだろうと期待していた許認可は、昔よりもっと時間がかかる始末であります。

「知事を説得してもやり遂げるんだ」という県職員の使命感、一昔までは、よくわれわれ県議や市町村の関係者と、想像力あふれる県政作りに、口角泡を飛ばしていた県職員の面影を感ずることが、できなくなってしまいました。一期一会ではありませんが、相手の立場に立って、行動する気概が感じられない。あなたは就任以来、県職員と対話を何回も重ねてきましたが、いっこうに意識改革が進んでいない。それどころか県庁内で挨拶する職員の姿がなくなり、よそよそしく、常にどこか人の目を気にしている。管理職は、部下を指導する姿勢がなくなり、若手も生きがいを失いつつあるとは、県政を長く見続けてきたある新聞社の記者の弁であります。

この二月県議会の直前まで、担当職員が徹夜までして固めた機構改革は、二月六日の部長会議の席上、田中さんは、自分と理念と共有しないし部局長・現場の所長はやめてもらうと会議の冒頭宣言をし、部局長の自主性など存在しない雰囲気で始まる。

本来、職員の働きに対するチェックは、執行責任者の知事ではない、知事を含め、職員の評価は、あくまでも県民であり、合衆国では、すでに住民が職員のボーナスを決定するシステムが実行されています。8000名を超える大世帯の県職員、そして知事が行う施行機関の実体を、県民に代わって評価するのは、県民からチェックのために選出された二元代表性である県議会に、大きな責務があると、肝に命ずるところですが。

田中さんの強権的手法が、逆に県職員の心を離れさせていると感じてなりません。 「県民は顧客である」という耳にさわやかな田中さんの県職員へのキャッチフレーズはどこにいってしまったのか。課をチームに名だけ変えても、職員の主体性は戻ってきません。トップである田中さんが、職員に仕事を任せられず、第二次大戦のドイツや日本の様な情報統制を続けるようでは、県職員の創造性は,けして生まれないと思います。

不景気に苦しむ民間企業を回りますと、月給性が、日給制に。社会保険が企業としてかけられず、国民保険にせざるを得ないところまで追い込まれているのです。

日給制になり、休みが続く正月や五月の連休が、今までは楽しみだったのに、いまでは子供たちの顔を見るのが、つらいと若い労働者が、話します。

原点に戻り、行政がどうあるべきであり、県職員は何をしなければならないか、現実をしっかり把握させ、自主性を持たせて職務権限を巡視し、職場長に管理も権限もゆだねれば、必ず民間活力を引き出す、闊達な仕事ができると信じます。もしサボっていたり、仕事が、滞っていたら、明確にし、ペナルティーをつける制度を、作ればうまくいくと思うのです。

いま構造改革に差し掛かり、民間企業では、新たな分野の創造に命をかけています。

許認可を待つ間、給与を払い経費倒れにならないよう血の出るような苦労をしているのです。

県職員が、マイナス思考から創造的な姿勢になることが必要だと思います。仕事終了後、民間のかたがたと会費で、酒席を含め意見交流すると翌日は、田中さんにメールが届く、こんな体制がいいはずがありません。民間人と積極的に交流することが、まず大事だと考えます。もちろん、利害やOBを含めた馴れ合いの接触は、けして許されないことは、いまの県職員が一番理解されていると信じます。

行政の責務のひとつは、民間の活力ある経済行為をどう生むか、そのための環境を整備するか、創造するかであります。田中知事は、民間の経済活動が、何か悪いことであるように捕らえているところが見受けられますが、民間企業が元気になってこそ、働く場ができ、県民の雇用がまし、景気が上がり、税収が増え、福祉医療といった弱者対策が充実できるのであります。民間企業にパワーがあって始めて、田中さんが望む自主独立型の行政ができるのです。

田中さんがスタートさせた田中改革で、平成13年度、253億円の公共事業費を、国に帰した年の県民所得は、6.6% 落ち込み、減少率は、全国でワースト3位。その後、失業者が増え、倒産件数が増加し、いっこうに明かりが見えない状況です。

昨年あたりから、他県では,経済の明るさが見え始めてきたのに、相変わらず長野県は、田中県政の経済政策の貧弱さから、低迷を余儀なくされています。あなたが声高々に打ち上げた、目玉である財政改革プログラムが実行された平成15 年の県税の減少は、40億円と大幅な減であります。

「なんとしても1兆6000億円の借金を少なくする」と県のできる事業を、急激なほど、削ってきたのに、借金は逆に526億円増え、1兆6526臆円にも、膨れ上がっています。現実の経済を把握できなかった、田中さんの政策の誤りといわざるを得ません。

先々週、財政再建政策を確実に実行されている佐賀県の古川知事と県民クラブとの会議の中で、古川知事は、公共事業を含め、ひとつの事業を,前年度の20%〜30%以上、削減して倒産やリストラが出ないわけがない、せいぜい10%カットが限界です。長野県はすごい挑戦をされておいでだと驚かれていました。

今こそ、経済政策財政改革プログラムを見直すべきだと考えますが、その決意はありますかお聞きします。

寒冷地手当24億円を、突然カットすると発表がありました。

田中さんの勤務時間が変則のため、本章の職員を先頭に、残業手当が20億円にも上る始末であります。寒冷地手当についての議論は別として、先ず残業を減らすことを考えるべきです。田中知事再選後、県民は田中さんに対話のある県政を望みました。

何の相談もなく、雪の中で住民の安全のため雪かきや屋根の雪下ろし、交通の安全などにがんばる教員・警察官・県職員の寒冷地手当24億円をカットしようとする。

この件での記者会見では、県議会に対し賛成しないとおかしい旨の発言され、これまた自分の考えを押し通そうとする。民主主義の基本は、プロセスでありプロセスが健全だと結果は、自然と導き出されてきます。

田中改革の最大の欠点のひとつである対話行政を忘れてはならないと申し上げます。

行財政改革について2点確認します。

Q. 財政改革プログラムが産業活性化や雇用の拡充に適切でないのではないか。という疑問を持つわけですが、内部での検討はされたのか、税収の落ち込みの原因も含めてその検討結果をお聞かせいただきたい。

Q.またドックイヤーの現在、田中さんが指摘してきたとおりで、すばやく対応すばやい許認可は県民が等しく望んでいる課題です。許認可を一刻もすばやくするための努力を傾ける意思があるのか決意を述べていただきたい。

トップリーダーの責任感についてです。

私が12月県会で、もしもの緊急事変対応のために職務権限を委譲したらと提案されていただきました。昨年暮れに田中さんは大手術をされました。くれぐれもお体をいたわられますこと願うところです。12月暮れからの国の予算方針に対し、各県は即対応したのに、長野県だけおくれ、市町村からも批判が出る有様です。田中さんが退院後、深夜まで何日もかかり病気上がりの局長や三役まで一緒になって、この予算提出にいたったとお聞きしています。

なぜもつと早く対応できなかったのか。

指示を出すトップの命令、災害時は特にそうであります。昨年の12月県会の私の質問に田中さんは、副知事の阿部さん、出納長の青山さんを始め、部局長がそれぞれいるから大丈夫だと言い切りました。田中さん、組織というものはそんなものではない。県の組織は職務権限によって動くのです。トップリーダー全ての権限者は、あなた以外にいないのです。だから国のトップリーダーである内閣総理大臣が、海外に出張するとき職務代行者を置くのです。田中さんはプライベートで、海外に長期に行かれるときも、携帯電話があるから大丈夫であると言い切ります。

その心構えで県民が納得するのでしょうか。田中さんの危機意識を高めていただくことを強く望みます。

Q. 財政がこれだけ厳しく大変だと主張されるのになぜ、知事自らの退職金に果てを付けようとしないのか。不思議です。知事の退職金の全国平均は、一期四年間で4233万円ですしかし財政がパンクする長野県知事は、5292万円と全国トップなのに,ご自分のことはいっこうに対応されない。あなたが知事になってから、買い変えた車がもう四台です。東京事務所の公用車は、ほとんど乗車されないでタクシーだという、だったら、なぜ新車を購入したのかと疑問がわきます。

知事の退職金の条例改正は、いつの議会に提出されるおつもりか伺います。知事「隗から始めよ」であります。

田中さんの指摘どおり、いたらなかったことは,謙虚に反省し、こわすものはこわし、あたらしきを創り上げていかなければならないと思います。

長野県議会が議長を先頭に、議員合意により改革を実行し、決算主義を来年より導入、正副議長の選挙、今年度から全国で始めての政務調査の公開等、法の定める範囲で、全国でも有数な公開された県議会に、改革することができました。

田中さんはよく議会を悪役に仕立て、自らを際立たせようとしておいでが、知事と議会がこの変革期、厳しい県民の生活力を向上するため、ともに切磋琢磨し、よりよきを求めて「創る」というステージに入らなければならないと思います。その原点は、誰かの誹謗や批判ではなく、創造的な対話の中にあると信じます。

「わかりやすい県政」というチャンネルがなくなってきている気がしてなりません。

本気で県民の視線に、合わせようとしているのだろうか。疑問がわいてきます。

県庁の機構改革の名称にしても、丁寧に応対する電話交換手さえ わからないのが実態です。おとづれる県民や、電話する県民が、どのポジションが、どういう仕事をしているのか理解できないケースが増えております。

このことは、県民からの田中県政が、遠い存在になった証です。田中県政の中長期ビジョンとして「コモンズから始まる地域づくり」を掲げました。コモンズと言う言葉はわかりにくい、多くの学者からも批判の声が上がっています。

しかし地域に住む人と人との絆を、行政のあり方、創り方の基本としたことには、評価するものであります。

費用対効果など、経済合理主義を強く訴え、過疎地の切捨てを政策に打ち出してこられた田中さんが、地域の絆を行政の中心にすえるとは、正直、思いもよりませんでした。  

県民のよりよい生活を基軸とし、都市部に住む住民も 農山村部に住む住民も、若い人も高齢者も、働く場があり、生きがいを持って暮らせ、公平に行政のサービスが受けられる「創る」というステージには、人と人の絆の大切さを基本にすえることだと思います。けして、他を非難、批評し自らを、際立たせる心からは、生まれるはずがありません。

知事や県職員われわれ議員の含め、常に謙虚に、住民の声を聴き、右顧左眄することなく、そこに住む住民の存在を、認め合うところから始まると考えます。地域の特性や住む人々の願いを見つめつつ、財政難のとき、身を削る孤独な努力と忍耐が、何よりも求められると思いますが。

田中知事は、コモンズから始まる県政を掲げられました。県職員が,正しく理解し行動できているか検証してみたいと思います。

Q.先ず田中知事のコモンズを、もつとも理解しておられるといわれる農政部長に伺います

知事が主張する古いコモンズから新しいコモンズの集落作りとありますが、あなたは農村で、どのような姿を古い、どのような姿が新しいと理解されておらけるのか、具体的事例を持って示していただきたい。

私が住む北安曇では、三月の末、住民が自ら集落の危険箇所を歩き、川皿いや道路の欠損部分を直し、ガードレールを磨き、終了後総会を開き、行政への次年度の要望を決め、役場に提出します、それを受け、町村の職員・県町村会議員が要望内容を、現場に伺ってチェックし、県の出先に要望する。県の職員は、積極的に現場に出、調査している実態を把握しています。

農政部の職員が、3人が集落へ降りていったい何をすることが、お示しいただきたい。

また農山村で暮らしていけない、何とかしなくては、中山間地が荒廃し、災害を引き起こす要因になってしまう。農業で暮らすのが、難しいから直接支払い制度を、私どもは国に要望してきたのです。それを一番ご存知の農政部長は、県職員にどうしろというのか。中山間地の農業をあなたが考えるコモンズの姿で、どう生活できるようにするのかご教授いただきたい。

コモンズとは、とても理解しにくい言葉です。

私の哲学は、地方の政治は、地域の個性を重視した政策の重なりでなくてはならないということであります。

真の地方主体の地方政治というのは、押さえつけ出ない、住民の視線に立ったDO−プロセスでなくてはなりません。東京大学名誉教授の大西氏が指摘するように、地方の政治は、その地域の言葉・その地域の声で作られなければ、地域住民の参加は望めません。

トップリーダーは、県民が理解しやすい地域の言葉で話し、県民と一体感を持って行政執行にあたることの必要性をつくづく感じます。

田中さんに、この場でこのことを強く要請申し上げます。

@再Q.農山村の絆を 維持して行くためには、収入を得る場がなければ やっていけません。今までは 中山間地の住民は 炭を焼き、まきを出し、お蚕さんを飼い生活してきた。それでも生活できなくなり、最近は 土木作業に依存してきた。ところが田中さんの急激な他県や国が 異常と評価する公共事業の大幅カット政策により、生活の糧を失って大変なところにきています。

現に、自らの命を絶つ人までおいでになります。

現実がわからない理念先行も ここまで来ると、犯罪だといわれるのではないかと思います。多くの人から悲鳴が上がっているのにかかわらず、変えようとせず 自らの理念を実行する。このことによって起こる不幸の責任は、絶対の権限者である知事にあると思いますが、田中さんそれをわかって強行しておられると理解してよろしいですか。  

もっと、しなやかになって県民の生活に視点をおいた生きた政策の実行を考えるべきではないのですか。

つぎに田中改革の手法の問題であります

210日、県公共工事入札等適正化委員会で、鈴木委員長は 昨年暮れ 県内508工区で行われた除雪業務委託入札で、一社のみが460に上り、平均落札率は96%であった。

ことに「競争が成り立たないものまで、一般競争入札にしろといった覚えがない」といわれ、「随意契約が適当かもしれない」と発言しています。新聞の報道するところによるとこれを受けて県の幹部は、「これでは県のやり方が、間違っていたこととなる」と困惑するとの発言が伝えられています。

田中さん、この報道をどう思われますか。

県の幹部には、われわれの意見を求めず、委員が自分の理念に固執して、現実を見ないで結論を出したから、不備が生まれたのだ。主張する以上、責任を持つ気概がなくてどうする、といいたかったように私には受け止められます。

この事実の中で、両者とも、責任と言う二文字はどこかへいってしまっている。

自分の主張をまず表明する――― そしてその主張と同じ考えの委員を中心とした検討委員会を作る――― 当然田中さんが 主張される結論が 討議の中で自然と結論付けされる。中には議論がわれ、結論を絞りきれないケースでは、無理やり多数決をとって決める。といった検討委員会まで現れる始末であります――― マスコミは、その審議内容を当然報道せざるを得ない。さもなければ記者会見の席上や他の媒体で実名を挙げて、批判をされる。―――県民は、検討委員会に入っている学者の肩書きの重さとマスコミで、報道されたのだからということで、その内容が、正しく現実性がある結論だと思ってしまう。 県の担当部は、知事の主張と検討委員会からの主張が、合致した結論を実行していく。 しかし、内容によっては、全国に例を見ない急激なものだけに、国の基準とかけ離れているため、いつまで立っても、結論が見出せないで、事業着手ができず当該市町村は困ってしまっている。また実行した政策は、現実社会に照らし合わせて摩擦が大きく、県民生活は不安定になるばかりである。

検討会がいきずまれば、また違った検討委員会なり、条例作成に切り替える。その一連の姿は、議論ばかりしていて、対応策が遅れ、自らの存在をなくしてしまった小田原評定のように見えてしかたがないと、自立した県民から意見が寄せられるのであります。

外郭団体の見直しについてであります。

 外郭団体は、時代の流れや形骸化し、整理しなければならないものも出てきています。しかし、その多くは、財団法人や社会法人であり、それぞれ理事会があり、県が勝手に辞めるといえる組織ではありません。なぜ、テレビで放映されたような、県が、一方的に、必要ないと、決め付けられるのだろうという意見が、寄せられています。たとえば47都道府県で、設置され、一定の成果が確認されており、理事全員はもとより、県警本部長まで必要だと言い切る財団法人暴追センターが、なぜ廃止されなくてはならないのだろうか。不思議です。今予算で12月県議会、わたしが主張した犯罪被害者に対する支援費を予算付けされ、犯罪撲滅に理解を示す、知事がなぜ暴力団追放センターを廃止しょうとするのか。現に県警の担当課長は、廃止論が出て以来、県内に進出する暴力団の動きが、あることを記者発表しております。

外郭団体の廃止等の改革は、担当部局や関係者の意見を十分に聞き、県民合意の元に決定する基本姿勢をとるべきだと考えますがどう考えるか。

外部の学者に頼り、改革の素案を作る。現場を理解していない学職者の欠点である現実の状況とのギャップが生まれ、問題が発生する。この手法は、見直すときに来ていると申し上げておきます。

次に今県議会に条例案が出されております。

条例は地方行政のなかで、憲法と位置づけられるものです。

信州の美しく豊かな風景を育成する条例・信州ふるさと森林条例 この二つの条例案をチェックしますに、なぜこんなに、知事のところへ権限を集中させようとしているのか、その地域、地域の実情が異なるわけで、その内情を最も理解するのが住民に一番近い市町村長であります。その権限に大きく踏み込んだ内容であります。

とりわけ 風景を育成する条例は、今まで長野県が 全国に誇ってきた景観条例をもっと強化した内容との説明でありますが、罰則規定まで盛り込まれています。

今までの景観条例は 県が示す景観保持の要綱を、そこに住む人々の自主的な住民参加の話し合いで、土地所有者が 締結した景観形成に関する住民協定を知事が認定したもので、このプロセスが大事だと思うと同時に、罰則規定などありません。

ところがこの風景を育成する条例では、街づくりの景観育成の基準を、当初はマスターアーキテクト 変更後は、景観育成アドバイサーという個人に、その地区の景観基準を決定させ、それに従わないものは罪人という法律を、作ろうとしているのには驚いてしまうところです。罰則規定をつけるという重さ、これを作成した県職員の罰則をつける場合、その法律が施行される範囲や その権限者についての検討が 実に浅いということです。また いま国会で提出されている景観法案は、景観形成の基本を市町村においています。これとの整合性はどうあるべきか。

アドバイサーの任命を市町村長にうかがうと付け加えましたが内容は、少しも変わりません。

スイスなど歩きますと 窓辺に花を生けることを 各市町村が法で義務付けております。虫が寄り付かないフェルモンを発する種類の花が多いのですが、このての法律は、あくまでも それぞれ個性ある村づくりを実施している市町村に ゆだねられる問題だと思います。

森林条例にしても 知事の裁量権が大幅に拡大されており、森林の管理自体、市町村がもっとも理解しているのに、その権限を奪っている。十二分あらゆる角度から分析し、他県の事例にもありますが、県・市町村・住民のそれぞれの役割を 明確にして条例は、作られなくてはならないと思います。

なぜこのよう日時に権限を集中させようと考えるのかここでお聞きしておきます。

また 六月議会提出にまわされた「廃棄物に関する条例案」についても、中信地区廃棄物処理施設候補地選定会議で、どこに処理施設を作るかと検討している。その施設部会長からもなぜ、もっと早く議論をすべきである。なぜ県つまり田中さんは、結論を延ばすのかと不満を、述べるくらい進めようとせず、まさか、ないとは思いますが、これだけ巨額の税金をつぎ込み、検討会議も精力的に開催し、来年度4千万円予算化してあるのに、条例を審議しているアドバイサーの意見で、施設いらないという結論に、導き出そうとしているのではないとは思いますが、

県内の産業廃棄物処理の限界は平成18年度だといわれています。産業廃棄物の最終処理の責任がある県として、民間でできないときは、県で責任を持つ覚悟が、あると思いますが、田中知事に確認させていただきます。

今まで中信地区だけの廃棄物行政で 事業団を含め、2億5千万円を越える県費が投じられているのですから、この経過を十分 踏まえた条例案の提出を待つところです。

 住民を縛る条例は、少ないに越したことはない と考えてきました。人と人とが、心静かに 心豊かにふれあい 生活するその日々の中に相手のことに、心やる姿勢があれば 社会は穏やかに安全でいられる。性善説を基本とする社会を、理想とするからです。

田中改革の手法を総括しますと、法案作りから 先ほど述べました検討委員会についてもう一度検証しますと、住基ネット等に代表されるように、田中さんが、 この本会議場で、公平で適正な第三者に 出された結果を判断していただく、それまでは一切答えられない。けして一方に偏った人でないと 異常なまでに 職員に答弁を抑えてつけたプロセス。結果は、あなたが公平で、公正な第三者と、独断で指名した人は、個人でなく企業と契約書を結んでいる。 その上、田中さんが、検討委員として任命し、二度にわたり町村に出かけ、一連の検査を指揮した委員との関係は、その委員の勤務していた会社の会長であった。これが全国を騒がせた住基ネット検討ドラマの真相であります。

このような都合の悪い事実は、県民には消して知らされない、カラス張りの中の、鉄のカーテンと比喩される政治が行われている事実を、県民は いましっかりと見つめなくてはなりません。

委員やアドバイサーの選出は、いつも知事の意思のみで決められ、選出方法を県議会がチェックする方法は、今の地方自冶法には 残念ながらありません。

この議会に提出された予算では、知事という絶対な権力を、チェックする議会の調査権まで、剥奪しようとする強権ぶりであります。

もう知事となって4年が過ぎ、その間 退職までし、2回目の信託を受けている全国に名をはせる 油の乗った知事であります。もう素人でも 新人でもない 出された結果のすべての責任を取るに 十分なキャリアを詰まれた絶対権限者なのです。

与えられた権限を自分の思いや主張だけで押し付けるのでなく、現実を見て、謙虚になって、物事に対処してほしいと望みます。

先ず教育問題であります。

県立岡谷工業高校のバレー部の監督を含め、現在日本高校スポーツ界が誇る三大監督の一人、秋田県立能代工業高校の加藤バスケット部前監督は「指導者というのは、子供たちの魂に火をつける人間でなければなりません。たとえ子供たちの心が眠っていても、強い愛情で目覚めさせる。いったん彼らの魂に火をつければ、その炎は簡単には消えることはないのです。その火を灯らせるためには、自分が燃えていなくて、どうして他人に火をつけてやれるのでしょう」とよく話される。長野県のトップリーダーの田中さんに、聞いてほしい話ですが、

熱い心の教師がいなくなった。現役の中学・高校の生徒に、一番望むものはとのアンケートで、最も高い要望は、教員の資質向上であります。子供たちの輝く目を作る教員が不足していると指摘を受けて何年にもなるでしょうか。教員も生活者でありますが、一昔前によくおられた人を創るアルケミストのような、そして燃えるような熱い情熱を持った教師に、トンとお目にかからなくなった。子供たちの限りのない可能性は、強く接すれば強く反応し、熱く接すれば熱く、自らの持つ可能性が引き出され、より高いレベルへと成長するのです。

一を持って教えるのでなく、百を千を持って、教壇に立つ心が、何より大切なのです。

教育問題は国立大学の企業化が始まる今年から大きな変革へと突入しようとしています。この大変革をどうするか。長野県の将来を占う大きな改革が実行されなければなりません。

Q. まず独立法人民間となった信州大学との連携を どう位置づけどう支援していくのか伺います。

Q. 教員の資質向上へ向けた対策はどうするのか。12月県議会で 生徒からの評価制度の確立も含め 何点か提案したが、また今年も先送りか、決意の程をうかがいたい。

Q. 個性化され魅力ある学校づくりは、学校長の指導力によるところが大であります。もっと学校長に、新しきを創るためのシステム作りを提案してきました。それが学校理事制度です。

地域の代表・学校の代表が学校の方針を協議し、出された結論を 学校長が先頭になって推進する。

そして 一年ごとに達成度合いを地域住民に公開していく。地域の代表は、地域住民から沸きあがる要望を吸収し、提言するとともに 学校長をサポートする。

期限を決め、成果を出す姿勢が貫かれれば、一生懸命 生徒と向かい合う教員のひたむきな汗が、評価される体制が 自然とできあがると信じます。

2年経過した学校評議委員会制度の実態、具体的な成果 今後のこの制度の運用は、一定の費用を添えて、各学校に任せるべきだと思いますが、教育振興と名を変えた以上,もっと各学校の自主性に任せる考えはあるのか伺います。

Q.地域高校・職業高校の魅力アップのために 資金と人材を活用するとは、高校通学区検討委員会の改革の結論を決定する大前提でありました。しかし、多くの検討委員からクレームがつくように、学校の魅力作りを入試改革より先に実行するとの約束は踏みにじられ、魅力作りより先に、入試改革をしてしまう。残念であります。

県教育委員会の真実を疑います。今後の地域高校・職業高校の魅力作りに本気で取り組むのか。

Q. 高校の統廃合の問題であります。現状と今後のアクションについて、どうなっているのですか。先に中途半端な検討で、県議会から指摘を受けて 取り下げた夜間高校の廃止問題でご理解いただくように、学校の統廃合は、地域の実情や対象高校の地域の目指すアクションなど、さまざまな条件を理解してなくては、できるはずがない 事業あります。長野県をよく理解されていない審議委員が多いことも心配です。これこそ住民への説明責任をしっかり実行すべきで、田中県政が、得意する最も安易なメールで県民の意思を、決めてしまうようなプロセスは 絶対とらないように強く要請するものです。

総合交通対策について

地域発展の大きな構成要素としての高速交通網の整備は、高速インターへ30分で接続するという長野県政の基本構想の中で整備が図られてきた。

田中県政の中では、財政や田中知事の高速交通網に対する理念から、今まで整備されてきた計画が、ストップされる事例が相次ぎ、整備された地域は、高速交通のメリットを受け産業や交流が活発となり、成長する勝ち組地区と地勢上から、後に回された地域は、高速交通網から取り残され、従来のままで雇用創出のための工場誘致にも結果が出ず、未整備地区からは、地域不満が出されている。

公平で個性化された地域つくりのための県のサポートは、等しく税金を納める県民への当然のルールであり、将来の高速交通網や民間経営の鉄道やバスの運行実態を配慮しつつ、整備することは、国・県に 課せられた責務だと考えます。

1.      国では社会資本整備の中 長期計画の作成提出を求めているが、長野県は県民が望む高速交通網の整備についての整備計画は、いつ県民の意見を聞き、どのような基本計画を作っているのか

2.      道路交通網の整備は、他の県との連携が必要とするが、国や他県との話し合いは、とどこおることなく進めているのか。

3.      ここ2年間で 道州制の一定の方向を出すと国は、表明していますが、高速交通網は、国家100年を考えて創るべきです。当然 道州制を考えた高速交通網の整備計画の検討は、進められていると思いますが、その状況をうかがいたい。

4.      松本―糸魚川 地域高規格道路は、現道を利用し平均時速60キロの費用をかけない方式で、スタートすることとなりましたが、今後は、知事が言う必要な事業は、集中して仕上げる原点に立ち返り、一日も早い開通を願うところであります。      国もこの道路の必要性を、強く認識しており、大至急すすめるべきであります。今後のスケジュールを以上、土木部長に伺いたい。

5.      しなの鉄道の再建を、株式に変える本県議会への提案であったが急遽、未提出となりました。この財政が厳しい折、少しでも県財政を助ける政策を考えるのが、企画局の勤めであります。 大幅な人件費の削減による経営の黒字化は もっとも安易な経営手法であり、諸手を上げて、評価できるものではありません。 民間の経営とは、数年 黒字を出して 初めて評価されるものであります。その意味においても、杉野体制の評価はこれからであり、過大評価は、本人を苦しめるだけであります。 料金の値上げを含めての自社努力は、常に万全でなくてはならないし、信越本線の長野以北の問題もあり、篠ノ井―長野間とあわせ、行政の長として、人に任せるのでなく、自ら、JRと真剣なやり取りが必要だろうと考えます。決意を伺います。

6.     私は3年前本会議で、ドイツのフライブルグ市の例を引き、地球環境を考え、通勤を鉄道で市街地まで乗車し、市街地の中からは、自動車を締め出し、乗り物は自転車中心で、ゆったりとした環境にやさしい交通政策の例に引きながら、地域交通政策を考えるべきだと提案させていただきました。

公共交通網の利用率をいかに上げるかは、3年たった現在でも、変わらないテーマであります。フライブルグでは 鉄道利用を勧めるために、定期乗車券を購入している顧客に、家族を含め休日には、鉄道や他の公共交通手段を無料で、共通利用できるシステムを構築している苦心談を田中さんにお話しました。         議事録を紐解くまでもなく、田中知事はこの提案を絶賛されてくださいましたが、企画局として、一度ぐらいは各公共交通企業を集め、検討会議を持ったのか。また環境に考慮した交通政策の取り組みはどのように展開しようとされているのか、実施事例を示しながら答弁いただきたい。

7.      災害に強い交通網の整備は、東海地震の特別対策地域に指定され、静岡―糸魚川港造船が走り、内陸部で、全国一の発生危険率が高い長野県の重点項目でなくてはなりません。 県民の求める公共事業アンケートのなかでも、災害に対応するものは、第一番でありました。地震に強い交通網とは、どのように考えているのか。         また木曾谷や姫川沿いなど、ワンウエーの解消は、今後計画的にどう対応していくのか答弁を求めます。

8.      北陸新幹線の開通に伴う従来線の廃止問題について、信越本線の長野―直江津間の対応へどのような話し合いをしているのか。また大糸線の南小谷―糸魚川間の問題は、すでにJR西日本がバス代行を経営者が表明しています。過去には、副知事が、知事の意向を受けて、JR西日本に幾度となく交渉している。企画局長も経験した副知事はご存知だと思いますが、地域住民の全ての要望は存続です。田中知事は、どう対応する決意か伺うとともに,企画局長に、新潟県やJRと何回会議を持ち、どのような方向で検討が進められているのか伺いたい。

医療問題についてであります。

 国の保護のもとに 日本の医療が展開されてきた歴史に 終止符を打つ大改革が行われようとしています。国立大学付属病院の独立法人化であります。

採算収支を考えないで、研究部門も含め、地域医療・専門医療を導いてきた付属病院の独立法人化は、今後の県立病院の経営のあり方を、示唆しているものだと考えます。  日赤病院・厚生連合会病院など、県下の病院はそれぞれ厳しい経営の中で 大変な努力を積み上げています。このような医療を取り巻く環境が、大きく変化する中で長野県の医療行政をどう構築するのかをチェックしたく思います。

1.      県立病院の今後のあり方について、どう考えるのか。国立病院がなくなる時代、各県立病院の将来の姿をどう位置づけているのか。それぞれの病院ごとに経営形態を含め示していただきたい。

2.      検診体制の確立は、早期発見・早期治療の原点であります。私のライフワークであります最も死亡率の高いがんや県民クラブの会派要望でもある痴呆の早期対応など、分野ごとにどのように早期発見のための体制作りを急ぐべきであると考えるがどうか。

3.      厚生労働省が小児緊急医療体制の強化として、24時間 全国どこでも地元の小児科医につながり、相談できる#8000電話対応のための予算5億円が設定された。事業主体は都道府県となっているが、長野県の対応はどうか

4.      現在危惧されている東海地震・静岡~糸魚川構造線地震への医療対応の準備はどこまで進んでいるのか

5.      12月県会で、がん治療を始め、各分野での治療のレベルを上げる工夫を、お願いしましたが、具体的な取り組みを発表いただきたい。

6.      コモンズからの地域医療の充実を掲げているが,現在実施されている医師・歯科医師・薬剤師が、互いに協力し合う包括医療体制こそ、住民をネットした終局の姿であると考えるが。地域包括医療体制をどう今後していくつもりか。

福祉問題についてです。

 田中さんが二期目に当選され、県議会各会派を回られたとき、わたしは、五年前から暖め、提唱してきた「何事も、集落に住む人たちが、助け合いながら暮らす農耕民族の日本にとって、地域に暮らす人たちが、互いに支えあう絆を、ベースに考えた日本型福祉ビジョン構想」を収めた冊子を差し上げました。

 今議会に提案された社会部長の議案説明の中で、「人々が手を携えて、生活の拠点である地域に、根ざして助け合う地域社会を、基盤とした福祉の推進に努める必要がある」という精神は、まさにずっと主張してきた内容で少し驚いたところです。

Q. 自分らしく生きるために「施設から地域へ」言う目標をどう実現していくか。施設と地域のバランスをどうするのか。

Q. 県民の1/4505千人が高齢者であり、9万7千人の身体および知的障害者の皆さんの地域でどう生きがいを持って、暮らせる生活基盤の整備をどう対応するのか。早急に十広域ごとのトータルプランを、県民に示さなくてはならないと考えますがどう準備しているのか。

 

 Q.介護度が4~5で介護をほどこす人が誰なのかわからない老人が、施設に、入居できないでいる。施設福祉の整備が遅れているということです。

長野県は 2001年の社会福祉地方審議会の方向を受け、宅老幼所の設置が 盛んに行われていますが、宅幼老所を代表とする在宅福祉が どのように地域をネットし、

施設福祉は どの程度の方を支援するのか。すみわけを計画しなければならない。方針がなく急激な転換は、方向性が正しくても、県民には 受け入れられません。毎年5~6箇所 建設してきた特養の、平成16年度新規採択は、過去にないわずか1箇所であります。  福祉政策についても、もっと計画的に、県民に説明し論議を踏まえ、「上からの判断」ではなく、決めるべきだと考えます。

 Q. また何度も本会議で、指摘してきたが、今後の社会政策の最大の関心事は、少子化対策にあると考えます。加速度的に進む少子化への対策に 県を挙げて取り組むときだと痛感してまいりました。このための早急に、母親父親を中心にした 長野県に住む人を中心にした学者中心でない主役が、県民の普通の人で構成された 検討会議を設置すべきだと考えますがどうですか。

景気・雇用対策についてであります。

長野県を代表する長野県で生まれ 成長された企業が その主たる生産拠点を 海外に移していかれました。三重県では4000名の雇用と その企業の中小下請け企業誘致に、多額の支援をしました。また新潟県では、進出しようとする企業に 何億円の支援を制度化しています。

. 魅力あるインセンティブの必要性を感じます。企業誘致や今ある企業が、県外に移転しないためにインセンティブの整備をどう対策するか。現在、長野県への誘致も、県内の企業への移転慰留に対しても、何の対策も見えません。

真剣に対応を講ずるべきであります。インセンティブの充実が、政策の基本では いけないわけですが、ライバルである他県が、実施している以上、県境や国境を持たない産業界のこと、しっかり検討すべきだと考えます。方針を伺います。

Q.田中さんは名古屋事務所を始め、工場誘致の窓口で、一定の成果が上がっていた部署を廃止し、県庁に機能を集められました。

企業誘致に民間の人材を起用し、東京や名古屋の情報が、集積する地域に、拠点を持ち、県職員と一緒になり、積極的に長期スパンに立った活動をし、多くの成果を挙げてきました。ところが経済の見えざる手のパワーを実感されていない田中さんが知事となり、現実を見つめない理念の産業政策により、経済に大きなかげりが生じ、失業が増え、産業県長野が揺らいでいます。何度も進言してきたが、いまだ際立った成果を聞いていないのですが、またここ一年企業誘致は、どのくらいできたのか。そのことによる雇用はどの程度生まれたのか。このように本庁に集約する産業政策を変え、もっと柔軟に動ける体制が必要だと思うがどうか。

. 田中知事の産業政策は、地域の持つ潜在能力をともに見つけ、県民の最大の悩みである雇用や企業の仕事作りといった、時間のかかる、ひたむきな汗を、必要とするポジションに、力を入れていこうとする顔が見えないのが、残念で物足りなさを感じます。

地域産業の育成、職人技術の保護とネットワーク作りをどう勧めていくのか。

Q. 中小・零細企業は、本県企業の95%を超えるの雇用の中心的存在でもある。中小・零細企業が元気を出すことが長野県の元気の元である。経営サポートを考えているとしたら、経営者がもっとも苦労しているのが資金繰りであります。それを助ける県信用保証協会の活性化は絶対に必要なことであります。技術畑のものが役員になる体制整備や 県が中小・零細企業が、取り組む分野の将来性・新たな商圏の相談体制など、現場の実情を理解する指導体制の確立を急ぐべきである。

Q. 高校卒業者や若年者の就職問題は実に大切な雇用の原点です。

高校卒業者の就職対策を県として どう支援していくのか。また若年者への就業支援事業について 商工部からの要望金額1億3千7百万円を 田中知事は5千万ほど削っています。議案説明の中で、若者の就業に力を入れるという発言とは 異なることを、実際は行っている気がしてなりません。お答え願います。

Q。新産業地域の指定以来、精密工業を中心に、全国がうらやむ「もの創り県」を作ってきました。

平成16年度予算で、商工部が知事に要求した 昨年から 長野県産業の中核政策として取り組んできた健康・福祉・環境教育の分野の新事業をつくる、3x3産業の関連予算やはつらつ産業創出事業費など ,8億円をばっさり張り、新コモンズ創出事業にまとめ、 24千万円にと 大幅に削っています。田中さんがいくら流暢な言葉で 表現しようと、この減額幅は、田中知事自身が3x3産業づくりを放棄したと見えます。本気で取り組む気概があるのか。うかがいます。

農業政策であります

 長野県農業は、日本一の園芸大国を目指し、生産者・生産団体の たゆまざる努力と農政部・普及センターの技術指導 そして全国に誇る新品種研究システムが合致し、他県がうらやむ農業大国を築いてきました。

レタスをはじめとする野菜・トルコキキョウをはじめとする花卉・本シメジやえのきをはじめとするきのこ・新潟コシヒカリに勝るとも劣らない長野米・りんご牛や無菌豚で代表される畜産と5分野がバランスよく配分されてきました。

自然環境を克服し、工夫してきた先人の経験が作り上げた、全国に誇る長野県農業の現場を、農業をしらない田中知事は、アグリ指南役として 長野県の土と農業で生活していくことを実感されていない2名の文化人にその将来を託しました。

県費を使った広告で、いかにも農産物消費が向上しているかのような イメージを作っていますが、昨年など大幅に農産物の生産額も減り、2名の指導による新たな販路は、みいだせず、今まで、行政と生産者団体が、力を合わせ 作り上げてきた市場主義の流通と信用を、知事が否定したため 販路に揺るぎが生まれ、全国への消費は、伸び悩み 経営苦で、先行き不安をかかえる農家は、増える一方であります。

Q. 今年の農政部の事業予算関係書類には、信州から始まる日本の農業改革とあり、環境に付加を与える農業から自然と共生の農業とあります。

循環型社会の構築とありますが、全国に比べ畜産の比率は、下がる一方で循環型農業の中心である畜産業の振興循環システムをどのように構築するのか

Q. 次に農薬の使用量50%削減を目標としています。実にいいことですが、それでは削減するために、農薬に変わるものが完成しているのか。まさか研究半ばであるフェルモンの使用などとは答弁されないと思うが今後どのような計画を実行していくのか

Q.農産物の安全性や特異性を 消費者の視点に立って考えるならば、食の安全保証体制の確保が何より大切ですし 農畜産物の生産履歴を明記すること(トレーサビリティー)が全国で行われています。

また現在県議会が 検討している食の安全のための条例の制定を急ぐべきです。この分野は本県では 生産者団体である農協に任せっぱなしでありますが、他の都道府県では、行政が先頭を切ってトレーサビリテーに取り組んでいます。

田中知事は、今提出予算で、農政部が要求した500万円をわずか25万円に削っています。いったい消費者への説明が大事だと いつも申されているあなたの姿勢はどこにいってしまったのですか。園芸大国日本一を目指す県の生産履歴制度への意気込みはどうか。

Q.長野県農政には、ふるさと作り運動が明文化されており、林政とともに里山を守り そこに住む人たちの生活を支えてきた歴史がありました。これこそ今田中さんが 外来語で表現しているコモンズの視点に立った行政であり、今までの長野県農政はまさしく地域の活性化を見事に作り上げてきたと思います。財政難のとき、中山間地の農村整備とその活力どう生もうとしているのか。

Q.長野県の食と農畜産物の安全性を確保し、全国に広くアピールするために、どんな対策を取ろうとしているのか。群馬県と対比して説明いただきたい。

循環社会の確立のために畜産の振興は重要であります。今BSE・鳥インフルエンザを含め、ひん死の状況にある畜産と消費者団体が、長野県の食肉処理の衛生技術では、心配だと危惧する食肉場を、どう立て直そうとしているのか答弁願います。

Q.園芸王国日本一を目指す本県農業は、最近 他県の研究と販路支援により、伸び率が下降している。静岡県は、浜名湖周辺を園芸地区と定め、国際花博覧会を五年前から準備し、今年実施する。隣の愛知県に、大きく水をあけられているのを、とりもとどそうと、必死で知恵と汗をかいている。私は小布施町のように、各家が 花壇を作ったり 各地域が年に一度 2~3ヶ月 花祭りをする、そんな花フェスタを市町村ごとに 開催するような世界に例を見ないサテライト方式の国際花博覧会を、再生へのきっかけを作る機会とする必要があるのではないか。

以上あわせて答弁を求めます。

観光対策であります。

 長野県の観光の歴史は、「さわやか信州」をキャッチフレーズとして掲げ、変わることのないイメージをつくり全国に冠たる観光県長野を作ってきました。さわやか信州の定着とともに、長野県への観光客は増加してきましたが、昨今の長引く不況と社会ニーズの変化により、右下がりの傾向はいまだ止まらず、新たな対策が待たれるところです。

 Q.16年度の観光政策は、観光マーティング支援事業に、1億5千万が計上されておりますが、「長野県に何を望んで、やってくるのか」エージェントのアンケートでは、自然と温泉でありましたが、5年後10年後の長野県観光の姿をどうしようとしているのか お示しいただきたい。観光関係者は明日の食い扶持だけで四苦八苦しているのが現状ですが、何とかしようという意思は、いまだ失っていないと信じます。

 

Q.交流人口を増やすために、海外からの観光客誘致のインバウンド事業について、知事は 自ら香港や台湾へ飛び、積極性を見せたが、その後どのような成果が生まれたか疑問が残ります。中国・韓国も含め観光客を迎える飛行場は、どこに重点を置き、どの程度を客の入れ込みを目標にし、東北3県のように連携を模索している県はあるのか。

Q.ここ1~2年、田中さんがスキー王国長野を掲げてから、特に中学生・高校生のスキー修学旅行がなくなったとスキー場関係者からの発言が寄せられ、県民クラブの政務調査でも、スキー部門の観光客のダウン率は大変であります。スキー王国として修学旅行対策に、具体的に何を実践してきたのか。

Q.春・夏・秋のシーズンをどう対応するかという命題の中で、農業体験を含めた滞在型の観光として、長野県白馬村から始まったグリーンツーリズムふるさと交流事業が全国的に展開されています。四季の変化が厳しく、趣の深い日本のふるさとの原風景である長野県には、もてなしの心が芯におかれた この事業の成功は,本県の潜在能力を引き出し,迎えるものの原点に立ち返る事業だと認識しておりますが、田中知事は、今予算で,農政部が要望したわずか250万円の要望をゼロとしました。 この事業は職員がゼロ予算でやれる軽い事業だと、思っておられるのか、知事のこの事業に対する姿勢の問題だと思います。どうですか。

Q.誘客営業は、人と人との信頼関係が何よりです。県の人事においても、この分野の職員の仕事内容をしっかり見極めてから、移動させる配慮がなければ、観光局と名を変えても結果は見えています。全ての分野にいえることかもしれませんが、観光のような世界は特に気をつけなければならないと思いますが。

Q.     懸命な田中さんのこと、スキー王国のキャンペーンといってぬいぐるみに入ったり、ビラを配っても 信州のスキー客は増えないことを肌で感じているはずです。本物を教えること。スキーや観光地の人が、何を望んでいるか。抜本的な方向転換の必要性を感じます。特にこのことに力を入れてきた知事の所見を求めます。

林業問題についてです。

田中知事が登場し、地球温暖化対策のうえでも森林の持つ機能の重要性を県民益とし、間伐政策を推進し、そこうえ、公共事業で仕事を失った建設業者の代替として森林間伐を進めました。

私は、今やらなければならない間伐政策は、今、植えられている樹木を、ただ間引きすれば良いという間伐方式ではなく、ドイツのような一度植えた樹木を、住民の将来の機能や生活・環境にあわせ、植栽まで変える森林整備であるべきだと思います。

戦後の植林は、将来、売れて成長が早い、樹木を植えました。その多くは杉であり、唐松でありました。戦後55年を過ぎ、木材として利用するときなのに、伐採をせずに、間伐して、おろぬいた樹が、うれて使われるかわからないのに、盛んに間伐を県費で進めています

そのうえ、切り倒せれた木材は、そのまま森に、横倒しにされたままで放置され、森を整備し、間伐材をどう生活の中で活用するか。の配慮の欠けたままで進められてきています。

林業行政の責任者は、現場からの声に耳を傾ける姿勢を失い、田中さんから言われたことのみに気を配る現場を忘れた長野県森林行政になってしまっています。

県下各地の間伐された森林に入ると、切り倒しの木材が、もし大雨で災害が発生したときは、大きな被害を起こす要因を、わざわざ作っているかのように思えます。

あの平成77月の梅雨災害で、この県庁横を流れる裾花川で、9000リュウベもの材木が二つの裾花ダムに流出したことを思い出します。

間伐された材木も30~40年育ってきた大切な資源であり、この間伐材をどう使うかともに研究しながら、間伐政策を推し進めるべきだと考えます。

切り倒された木材は、産業廃棄物です。許認可の厚い壁は、木材の用途の拡大を阻止しているのです。

CO2を削減するために、岩手県のペレットストーブのように、熱源として普及するなら、県をあげて取り組む、本気がほしい気がします。長野県の方針を伺います。

山と向かい合って生活が、できなくなったから過疎が始まったのです。山で生活することの難しさをよくよく考えていただきたい。だから中山間地直接支払い制度を創設したのです。そこに人が住むから水管理が行われ、地すべりや災害を未然に防げるのです。

森林環境税についてですが、私ども県民クラブは、森林を守り、水源としての整備のために、昨年11月森林環境税の骨子案をまとめ、発表すると同時に、新税はあくまでも、県民の理解のもとに制定すべきであるという信念の元に、いま県議会・市町村議会で構成される森林議員連盟で承認をき、市町村討議を行っております。

そんな中で、先日、知事が、突然、私たち県民クラブの案と、ほとんど同じ内容で、異なる点は、納税負担額が、二倍となっている骨子を発表されました。経過はともかく森林環境税を利用し、県民総意の元に、地球環境のため、森林整備が進むことを祈るところですが、気になることが在ります。

それは、11月の会派での森林環境税創設の検討会議のおり、出席された林務部長は、一切このような新税の創設は、考えていないと、新税を作るのは、反対と発言せれたのに、先日の知事のあの発表です。  いったい林務行政の主体性はどうなっているのか。このことは、林務部長に伺います。森林環境税については、一般質問で村上議員がじっくりお尋ねします。

環境問題についてです。

 2月20日の知事の予算の会見を受けて、マスコミの皆さんから、ため息交じりに阿智の廃棄物処理施設やめだそうです。どう思われますか。と取材されたとき申し上げる言葉がありませんでした。

 Q.何年も前から担当の職員は、土日も返上して、阿智村に出かけ住民と話し合いを繰り返してきた汗を、知っているからであります。それと総額23億円に上る県費が投入されてきているからです。

 しかも、住基ネットの実験に2度も、協力して下さった地元阿智村長に、なんの相談もせずにであります。

 県が責任を持たなくてはならない産業廃棄物の処理をどうするおつもりか。平成18年には、県下の最終処理場の処理能力は、いっぱいになってしまうこの現実を踏まえ、長野県の産業廃棄物をどこに持っていかれるのか、南信地域全体の皆さんに変わってお伺いいたします。

 Q.つぎに中信地区廃棄物処理施設候補地選定事業についてでありますが、今年度は、候補地ごとの環境アセスに入るはずだったのが突然中止であります。なぜ会議費だけ、残したのか。疑問が残るところです。田中知事は、3年間にわたり、あなたの判断で、業者に事務局まで預け、委員長と事務局で運営してきました。言いなりに投入した税金は、6000万円をゆうに超えています。

議会は何回も警告をしてきましたが、これは、田中さんの責任であります。どう中信地区の廃棄物処理施設候補地選定を進めていくのか。伺います。

長野県の県鳥は、雷鳥であります。先日大町市にある山岳博物館で、1963年から低地飼育されていた雷鳥の最後の一羽がなくなりました。50周年を迎えた今年の残念なできごとです。

 国は1992年種の保存法を制定し、特に絶滅の恐れの高い種の調査研究・保護増殖の事業をスタートさせました。

 ライチョウ・佐渡のとき・鳥島のアホウドリであります。ライチョウは、1985年までに山岳博物館や信州大グループの20年にわたる調査で、3000個体の生息が確認していましたが、しかし、近年,生息環境の著しい悪化により,絶滅の危機にあることが研究者から報告されています。私も過去数回にわたり、県鳥であるライチョウの保護に、積極的に取り組むよう要請もしましたが、16年度予算の中にもその項目はなく、従来の項目の羅列になっています。

 環境行政に取り組む職員は、その時、その場の状況の変化を、常に念頭に入れて、自立した対応策を、講ずる姿勢がなければと思いますが、長野県の動きは鈍く、他人事のようであります。

 Q.ライチョウの山岳博物館や県下の学者・信州大学などの研究者グループやNPOを核に保護対策を立ち上げるべきだと考えますし、日本アルプス5県の知事や市町村を、巻き込んだ行政の検討会議などの設置を、要望するものですが、決意はあるのか伺います。

地震対策です。

 県民クラブは、幾度も消防庁へ出かけたり、北海道・宮城県と地震で、昨年、大きな被害に見舞われた被災地にお伺いし、現場の声をお聞きしてきました。「まさか地震が来るとは」、思いもよらなかった突然の惨事に、初期対応の必要性を、皆さんが訴えておられたのを今でもはっきり思い出されます。

東海地震への万全の備えに官民上げて取り組む静岡県、対策の原点は、自冶会組織ことの対策でありました。集落の中心地に、乾パン・水の浄化器・釜・スコップ・つるはしにいたるまで倉庫に整備されていました。集落ごとに定期訓練をしているのを拝見し感服したものです。2500億円をかけ、道路や地すべり対策をし、県を上げて、耐震計画を策定し、具体的なアクションプログラムを実行しています。本気で対策している。

 長野県も同じ特別危険地域に、指定されていますが、その計画は残念ながら不十分といわざるを得ません。

 静岡――糸魚川構造線地震対策も含め、先ず、耐震計画を地域のスタッフの参加を得ながら、作成すること。そのプログラムを一つ一つ実行するプロセスが大事なのです。

 そこで、知事に伺います。長野県の地震対策のアクションプランとその実行をどう位置づけていくのか。今回耐震検査を削られたが、県民全部を対象にすべきであると考えますが、地震対策大きく踏み出す決意はないのか。うかがいます。

 最後にスペシャルオリンピックスについてであります

2月29日朝から、あいにくのみぞれ模様の中、駐車場の整理やら、暖かいもののサービスまで、村関係者やボランティアの皆さんが、見守る暖かいムードの中、競技は、選手の一生懸命が痛いほど伝わってくる。すがすがしさの中で進んでいきました。

 いつもそうですが、ひとつのイベントを開催するときは、競技者に、日ごろの力を遺憾なく発揮していただこうと、ひたむきに、目立つことなく、支え踏ん張っている人たちが、いて初めて成功するのです。この真昼の星のような活躍に改めて感謝を申し上げるところですが。

そんな競技のさなか、役員の皆さんと、来年度の成功に向けた丸座会議が行われました。いったい財政を含め大丈夫なのだろうか。知事は議長を誘いアイルランドまで招かれ、大会旗を受け取り、開催地を代表して挨拶までされたのに、長野県はどう大会を支えていくのか。率直な質問がだされました。

 個人である田中康夫さんが招かれ、挨拶したわけではないのです。長野県知事が大会旗を受け取り、歓迎の挨拶までしてきたのです。

知事として、大会を支えたボランティアの人が帰りに交通事故に会わないだろうか、世界から、長野にお越しいただいた選手が、病気になったときの対応は、できているだろうか気を配るのが、知事としての責務のように思います。28〜29日と大会開催日に、長野県を留守にする田中さんの知事としての責任の軽さを感じますが。

Q.SOについて、長の県としてどう支援するのか。

長野県知事に伺いまして、前段の質問を終わりといたします。

最後に田中さんに申し上げます。

 あなたはコモンズからの発想を、長野県作りの基本にすえられると発表されました。

先ほど来、申し上げてきたが、あなた自身が、コモンズという厄介な言葉が、実際の社会で どういう状態のことをさすのか。わからないで用いておられる。学者や評論家ならば許されるでしょう。しかし具体的な社会と向き合う 行政の長として、その描く実際の世界が、わからずに、取り組むもうとしているのであります。常軌の沙汰とは思えません。

 あなたは、現在の集落の意見は 個人の自立した意見がなく、集団に押し込まれている、だからそのベールをといてやることが新しいコモンズだと主張されています。

果たしてそうなんでしょうか。報道が細かくネットワークされ、農山村に住む人たちは、自らの判断で、人と人の信頼の絆によって生活しおります。自分が生まれ育った、いま住む地で暮らしたい、しかし現場の実態を考慮しない県下一律の公共事業の削減や農山村・中山間地切捨て策で、働く場が奪われている。厳しい冬を含め、農山村での生活を知ろうしない田中さんには、そこに生きるということは、収入があり、学校や最低条件の行政サービスが、行われなければならないということがお分かりでない。

 生活する糧である働く場を奪っておいて 何が 新しいコモンズだという批判の声であります。先ほどのあなたが部長会議で、絶賛した農政部長の答弁でわかるように、県職員が集落に入っても、具体的な農村整備を伴わなくては、農山村では生活できないのです。だから、過疎化が進むのです「精神論では暮らしていけない」、田中さんのコモンズには生活感がないと申し上げざるを得ないのです。

 ディテールを見てとよく言われるが、事例に対する見方も、常に、自分の型にはめようとする傲慢さが、田中さんの限界でありましょう。原産呼称管理を、一人の人間の価値観に ゆだねて良いのかという疑問をなぜ持たないのか。日本酒は、その年度の米の出来ぐあいや水によって味が、変わる生き物であり、辛党・切れ党 味覚は、さまざまであります。

あなたは、コニサーを絶対な者と位置づけ、上からの権威付けをしようとする。街づくり条例のマスターアーキテクトもそうですが、ひとつの個性に染めようとする。長野県の長い歴史のなかで、この時期に、熟成されていない普遍でないものの見方を、強引に押さえつけるのは、どうかと思います

長野県政は、いま田中康夫という個人に、県政のすべての判断権が委ねられ、田中さん個人の判断基準が県民益であり、他のものの判断を許さないシステムが構築されています。怖いことです。この姿勢は異常と感じます。法で約束され自立した機関である教育委員会・警察本部や監査委員会を知事の付属機関として扱う、聞き入れないと非難する。この独立した組織であるのに、その一部の幹部職員は、自立を押し通す気概すら放棄しているのです。

県民の多くは、長野県だけが改革の先頭に立っているような錯覚をし、他の県も みな改革に取り組み、生き残るために必死になっている事実がわからないで、拍手を送っています。この平成の大改革は、経済のある意味での政策の終焉が、もたらした 勝ち残りをかけた地方の独立運動なのかもしれません。

住民の税金の ほとんどが国に治められ、今まで均等な地域発展に気配りされた、国の政策が、人口中心になろうとしています。人口のない地域は、そこで生活することさえ、できなくなろうとしているのです。

道州制が叫ばれ、県のあり方も問われようとしています。

全ての行政サービスが、一定の水準を約束され、しながら、集落を含めた現場からスタートすることとなるとしたら、本来県の役割である、一定の自立力を持つ都市をサポートするのでなく、財政力の小さい町村を支え導く建前もなくなってきます。

スウェーデンでは、県の役割は、県民の医療と高等教育のみを担当する行政機関であります。

住民に一番近い市町村行政こそ、何よりも大切なのであります。田中さんは県は、国とは同格を訴えますが、同格である市町村を下に見ています。

地域の自立とは、市町村が自ら自立するということだと思います。

長野県民は、田中さんの登場が、今までの硬直した長野県政に活を入れたことの評価と事実をも認識しなければなりません。しかし田中県政の国との摩擦が、県民生活にデメリットを多く生んでいる事実も認識しなければなりません。

確かに地方分権時代が来ました。地域やそこに住む住民が、今まで国が 全国一律の基準で多くの政策を実行してきたのを、県・市町村ごとに財源や自然環境を踏まえ、厚くするところ、薄くしてもいいところのメリハリをつけながら実行するときであると考えます。

だからといって、河川改修のように上流の行政と下流の行政とで、河川改修の基準が、異なっていたのでは問題が生じ、人命にかかわる災害対応ができません。当然 行政の連携が必要であります

 全ての為政者が、政治の基本である住民の暮らしを考えたとき、最も重要なことは、家庭であり、家庭の安定こそが何より大切であるところに行き着くと思います。

「家族が病に倒れたときどうなるか、老いたときのサポートはどうなのか、そして家族を支え暮らす原点の働く場があるか」の三つが、行政政策の核であると考えてきました。

 今まで長野県では、予防医学や食の改善運動が、地域から起こり、自然体の中で、改革が行われてきました。

日本一の長寿県は、年老いても生きがいを持って働ける県民性を培い、とりわけ老いても働く勤勉さは、農家戸数全国一の実績を築き、農作業を中心とした地域雇用がしっかりしておりました。また精密機械工業を中心とした企業の活躍が、失業者がいない、日本一働いてみたい県の実績を誇ってきました。

まさに長野県は、いままで全国に輝いていた。といっても過言ではなかった気がします。この絶頂の中で行政は、おごってしまったのかもしれません。

 プラザ合意以来、著しい国際化のウェーブの中で企業は、国際競争に勝ち残るために、安い人件費を求め、生産拠点を県内・国内から海外に移し、社会の構造が大きく変わったのであります。

この地に住む人たちの心の安定を作ること、この地で暮らす人の気持ちが、その真ん中にすえられた行政執行をしなければならないときなのであります。

県・市町村の連携のあり方・公務員の仕事のあり方、もちろん知事・市町村長、議会のあるべき姿、そして法治国家の中で、全国一律にネットをかける国の制度のあり方など、原点に立ち、細心の配慮をしながら、謙虚さを持って熱く展開しなければならないことも事実です。

このときこそ、人事のすべてを尽くし、最後は意思の見えない火の懐のゆだねる、陶芸の心に似た、心の静けさだと思います。

自らの求める結論をばかり得ようと権媒術数を用いても、必ず歴史の大きな波に飲み込まれてしまいます。

日本にとっても 長野県にとっても 各市町村にとってもこの厳しさは、今まで経験のない変化であります。これをのりきるためには、住民が求めるサービスを得るために、どのような負担を果たすか、その方法はどのような形がいいのか、先送りにしてはならない厳しい選択が いまで行われようとしているのであります。

自立は言葉ではない 自ら立とうとする意思の中から生まれるものです。

長野県のトップリーダーとして、田中さんは、つねに武闘家であられました。しかし自ら体をやみ、大きな手術もされたいま。人間の命の限りに 思いをはせられたと思います。

立ち止まって私たちが住む この長野県を心静かに見つめますと、春夏秋冬趣を変える大自然の奥深さ。その恵みの中で、鳥の冴えづり、森のざわめき、里山ののどかさ とともに住めるありがたさに、感謝しながら、子供たちの輝く目をしながら一生懸命 物事にぶつかる活力、地域・地域で異なる個性豊かな産業が、確実にネットワークしながら、わたしたちの生活の糧を作り出す活力、生活環境の安心安全を、汗いっぱいで支える公務員や企業の活力、これらが自然体の中で混ざり合い、そこに住むものが、生かさせていただいているのであります。

愛する人たちに囲まれて、成長を楽しみに、自然の循環をいとおしみながら、満ち足りた時間の重なりが信州に暮らせる喜びなのです。

あなたが知事となって、力づくで、急激な政策を実行するあまり、自然とは 違った動きが生まれ、あなたの願いとは別に、過疎や失業がいっそう増大してしまったのです。

田中康夫という一人の人間の 県知事職での挑戦を4年有余見つめてきました。イデオロギーや理念に左右されない、長野県で生まれた数々の匠、先人の知恵や工夫そして受け継がれるよりよきを探求する県民性は、ちょっとばかりの行政の手助けで、より充実した成果や新たな創造・雇用を生むのです。そしてより高い循環を生むのです。

消して偏った思い上がりでなく、じっくり腰をすえて見つめ、自然体で対処すればいいのです。

目に見えないものの力に感謝しながら

以上を申し上げて県民クラブを代表しての質問といたします。


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