里山ばなし 番外編

2003年 夏 ふるさと
 若くして、家を離れ、都会で勉強し、大手企業に就職して働いていた若者が、ふるさとに帰ってきた。
 今は、地元の工場に勤めていると聞く。
 幼い頃、父親とキャッチボールをしていた彼を、地元の草野球チームでひさしぶりにみた。伸び伸びとした若々しいフォームで投げるスピードボールで連続三振をとっていた。ベンチからは、やんやの喝采がわきおこる。
 あらためて、ふるさとの人と人との絆のあたたかさを感じた。
 ふるさとにもどってきた若者をうけとめる人々のやさしさがみえる。
 そして、ふるさとにもどってきた若者に安堵のようすがみえる。

試合の後で、幹事さんが用意してくれたにぎりめしを輪になって皆で食べる。
夏の陽射しのまぶしさと、ふるさとの風のさわやかさ、風にのってくる草の香りが、皆の笑顔をつつんでいた。